貿易取引においては船か飛行機のどちらかで輸送することになります
航空便と船便のどちらを選ぶかによって時間とコストが変わってくるので、十分に考慮した上で決める必要があります
- 船便か航空便かどちらで輸送するか迷っている人
- 貿易取引で輸送手段をどうやって決めたらいいのか分からない人
- どんな貨物が船便で運ばれるのか・どんな貨物が航空便で運ばれるのか知りたい人
輸送方法の決定方法
輸送方法を決めるときには時間とコストの許容度から判断する必要があります
基本的に時間とコストはトレードオフの関係になっています
時間をかければコストが抑えられますが、一方で時間をかけずに輸送しようとするとコストがかかってしまいます
コスト許容度
コスト許容度とは「どれくらいお金をかけても耐えられるか」という基準のことです
基本的には船便のほうがコストが安く、航空便のほうがコストが高いです
そのためコスト許容度が低い(=なるべくコストをかけたくない)なら「船便」、コスト許容度が高い(=ある程度コストがかかっても大丈夫)なら「航空便」を選ぶことが多いです
時間許容度
時間許容度とは「どれくらい時間をかけても耐えられるか」という基準のことです
基本的には船便のほうが輸送に時間がかかり、航空便のほうが早く輸送できます
時間許容度が高い(=時間に余裕がある)なら「船便」、時間許容度が低い(=緊急性を要する)なら「航空便」を選ぶことが多いです
コスト許容度と時間許容度から見る輸送方法の決め方
「時間がかかってもコストを抑えたい」なら「船便」、「コストがかかっても早く輸送したい」なら「航空便」を選びます
コスト許容度【低】 | コスト許容度【高】 | |
---|---|---|
時間許容度【低】 | 航空便 | 航空便 |
時間許容度【中】 | 船便 | 航空便 |
時間許容度【高】 | 船便 | 船便 |
輸送に時間をかけると傷んでしまう生鮮食品や生花などは時間許容度が低い(=なるべく早く輸送したい)ため「航空便」で輸送するのが一般的です
一方で少しでも利益を確保したい商品はコスト許容度が低い(=なるべく安く輸送したい)ため「船便」を選ぶことが多いです
船便がよく使われる貨物例
重量物・多量
重量物や物量が多いときには船便が使われます
構造上、飛行機よりも船のほうがより多くの貨物を積むことができます
また物理的に飛行機で運べないような重たい貨物も船では運ぶことができます
そのため船まるごと1隻分の物量がある貨物や、飛行機に積み込めないくらい重たい貨物は船便で運ばれます
より多くの貨物を積んだほうがより貨物あたりのコストが下がり、船を運航する船会社にとっても、貨物を運びたい荷主にとってもメリットが大きくなります
だから最近建造される船はどんどん大型化しているんですね
大きすぎて運河が通行できなかったり、喫水の浅い港に入れなかったりなどのデメリットはあれど、基本的にはまとめて運んだ方がコスパが良いですからね
危険物
火薬や一部の塗料など、危険物に該当するものは飛行機では運べない場合があります
そのような貨物は船便で運ばれます
危険物リスト
火薬類 | 火薬、爆薬、弾薬、火工品等 |
高圧ガス | 常温・常圧で気体の物質等 |
引火性液体類 | 引火点が一定温度以下の液体 |
可燃性物質類 | 火気等により容易に点火され燃焼しやすい物質や、自然発熱又は自然発火しやすい物質や、水と作用して引火性ガスを発生する物質 |
酸化性物質類 | 他の物質を酸化させる性質を有する物質や、容易に活性酸素を放出し他の物質を酸化させる性質を有する有機物質 |
毒物類 | 人体に対して毒作用を及ぼす物質や、生きた病原体や生きた病原体が付着している物質 |
放射性物質等 | イオン化する放射線を自然に放射する放射性物質や、放射性物質によって汚染された物 |
腐食性物質 | 腐食性を有する物質 |
有害性物質 | 上述の物質には該当しないが、人に危害を与え、又は物件を損傷するおそれのあるもの |
船便でも危険物が自由に運べるというわけではなく、ラベル表示や梱包の方法にルールがあったり、出荷時に書類を発行しなくてはいけなかったりします
危険物を運ぶときは事前に最新情報を調べたり輸送会社へ相談することが大切ですね
航空便がよく使われる貨物例
少量で軽い貨物
貨物量が小さかったり軽い貨物は航空便で運ばれることが多いです
基本的には船便のほうが安いですが、小さくて軽い貨物だと船便と航空便とでコストに大差ないこともあります
アクセサリーや細かい部品などは航空便で運ばれることが一般的です
船便と比べると揺れや振動も比較的少ないため、精密機器の輸送にも使われます
貨物自体の価値が高い貨物
宝石や美術品など商品自体が高価な貨物の場合も航空便で運ばれることが多いです
船便と航空便を比較すると、船便のほうが圧倒的に輸送時間が長いです
輸送時間が長いということは輸送中の事故や盗難のリスク(=運送リスク)が高いということです
貨物自体が高価な場合は輸送リスクを最小に抑えるために輸送時間が短い航空便が選ばれることが一般的です
まとめ
時間とコストの観点から輸送方法の選び方についてご紹介しました
時間とコストの許容度は貨物によっても異なるだけでなく、同じ貨物であってもタイミングや時期によっても異なることがあります
関連部署と話し合ったり、市場の状況を見ながら都度コスト・時間許容度を正確に捉えたうえで輸送方法を検討する必要があります
また、最適な輸送方法は貨物の性質やサイズ・仕向地など、時間とコストの許容度以外の観点から決める場合もあります
迷ったときは関連部署やフォワダーなどと相談したり、複数の輸送会社から見積もりを取って比較したりしながら最適な輸送方法を選択する必要があります
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