貨物が輸入地に到着してからの流れ 【海上輸送の場合】

海上輸送の場合、貨物が輸入港に到着したら、輸入者は船荷証券(B/L)を荷渡指図書(D/O)に交換し、貨物の荷降ろしと輸入通関の手続きを進めます

実際の作業はフォワダーが行う場合がほとんどですが、輸入者として流れを理解しておくとフォワダーや船会社とのやり取りもスムーズになります

この記事はこんな方にオススメ
  • 海上輸送で貨物を輸入する人
  • 輸入港で貨物の荷降ろしの流れを知りたい人

アライバルノーティス(Arrival Notice)の受領

貨物の到着が近づくと、船会社から輸入者宛てに「アライバルノーティス(Arrival Notice)」が届きます

輸入者はアライバルノーティス(A/N)を受領すると、荷降ろしの手続きを進めます

アライバルノーティス(A/N)の記載方法

A/Nには到着予定時期が記載されますが、ETAやETDといった略語で記載されます

  • ETA(Estimated Time of Arrival:到着予定時期)
  • ETD(Estimated Time of Departure:出発予定時期)

ETAは港に到着する日時、ETDは港を出発する時期のことです

例えば、”ETA Yokohama, Japan: 1 Oct. 2021″と記載されていれば「横浜港に2021年10月1日到着予定」ということになります

荷渡指図書(D/O)の入手

船積書類の一種である船荷証券(B/L)は引換証です

ですが、B/Lで直接貨物を受け取ることができるわけではありません

B/Lを一旦船会社に持ち込み、「荷渡指図書(D/O)」に交換してもらいます

荷渡指図書(D/O)を輸入港で提示することで貨物を引き取ることができます

輸入作業の依頼

輸入者はA/Nを受領したら、貨物を受け取るための作業をフォワダーに依頼します

依頼する際には「輸入作業依頼書」という書類を提出することが多いです

輸入作業依頼書を毎回発行してフォワダーに送るのが基本ですが、定期的に輸入する貨物であればメールに依頼内容をベタ打ちして依頼するケースもあります

輸入作業依頼書に記載される内容

輸入作業依頼書には以下の事柄が記載されます

  • 依頼先のフォワダー名
  • 依頼者(=輸入者)の名前と住所
  • 依頼日
  • 本船名
  • 航海番号(Voyage No.):航海ごとに採番されている番号です
  • B/L番号
  • 船積港(=輸出港)
  • 荷揚港(=輸入港)
  • 商品名
  • 数量
  • 重量
  • 原産地
  • 建値(CIFやFOBなど)
  • 保険
  • 依頼する作業の内容
  • 貨物の納品先
  • その他特記事項 など

船から貨物を降ろす作業は、船会社が行う場合もあります

国際運賃の料金形態がLiner TermやFree In (FI) の場合は船会社が荷降ろしを行います

Free Out (FO) や Free In & Out (FIO) の場合は輸入者が荷降ろしの手配をする必要があります

コンテナ船の場合

FCL貨物の場合

FCL貨物の場合、荷降ろしされた貨物はコンテナヤード(CY)に一旦搬入されます

荷渡指図書(D/O)はコンテナヤードオペレーター(CYO)宛てに発行されるので、CYOにD/Oを提出して貨物を引き取ります

貨物を引き取る際、コンテナの中身の確認はせず(コンテナは開けない)、外観に問題がないかだけを輸入者とCYOが確認します

外観に問題がなければ、「機器受渡証(Equipment Interchange Receipt, EIRまたはE/R)」にサインをします

LCL貨物の場合

LCL貨物の場合、荷降ろしされた貨物はコンテナフレイトステーション(CFS)に搬入され、コンテナを開けて仕分けがされます

1本のコンテナの中に複数の荷主の貨物が混ざって梱包されているため(=混載されているため)、開梱して仕分ける必要があるのです

荷渡指図書(D/O)はコンテナフレイトステーションオペレーター(CFSO)宛てに発行されるので、CFSOにD/Oを提出して仕分けされた貨物を引き取ります

貨物を引き取る際、貨物の状況を確認し「デバンニングレポート(Devanning Report)」にサインをします

在来船の場合

在来船の荷降ろしには「自家揚げ」と「総揚げ」という2種類の方法があります

自家揚げ(直揚げ)の場合

「自家揚げ(直揚げ)」とは輸入者が手配した港湾業者が荷降ろしをすることです

荷渡指図書(D/O)は本船宛てに発行されるので、本船の船長にD/Oを提出して貨物を引き取ります

自家揚げの場合は本船上で貨物が引き渡されます

貨物を引き取る際、貨物の状況を確認し「貨物受渡書」にサインをします

総揚げの場合

「総揚げ」とは船会社が指定した荷揚代理店が荷降ろしをすることです

荷揚代理店は荷降ろし後、貨物を保税地域に搬入し、その後荷主ごとに仕分けをします

荷渡指図書(D/O)は荷揚代理店宛てに発行されるので、荷揚代理店にD/Oを提出して仕分けされた貨物を引き取ります

総揚げの場合は、D/Oが提示される前に荷降ろし(陸揚げ)がされます

貨物を引き取る際、貨物の状況を確認し「貨物受渡書」にサインをします

まとめ

実際にD/Oに交換したり港で貨物を受け取る手筈をするのはフォワダーが行う場合もありますが、輸入者として流れを理解しておくとフォワダーや船会社とのやり取りもスムーズになります

貿易
スポンサーリンク
ひよっこワーママの勉強ノート

コメント

タイトルとURLをコピーしました