海上輸送で使用される船荷証券（B/L）にはShipperとConsigneeの名前と住所が記載されています
Shipperは貨物を発送する「荷送人」のことで通常は輸出者の名前と住所が記載されます
Consigneeは貨物を受け取る「荷受人」のことでB/Lの種類によって記載される名前と住所が変わってきます
“Shipper”と”Consignee”
荷送人（Shipper）
Shipperとは貨物を発送する人（荷送人）のことです
通常貨物を発送するのは輸出者のため、B/LのShipper欄にも輸出者の名前と住所が記載されます
荷受人（Consignee）
Consigneeとは貨物を受け取る権利がある人（荷受人）のことです
B/LのConsignee欄に記載される荷受人の名前と住所はB/Lの種類によって異なります
B/Lにはいくつか種類があります
輸出者と輸入者の間で取り決めた決済方法によってB/Lの種類が変わってきます
Consigneeは決済方法によって記載仕方が異なる
B/Lには「指名式B/L」と「記名式B/L」の2種類があり、それぞれでConsigneeの記載方法が異なります
B/Lの種類は決済方法によって異なります
貿易取引で使われる決済方法は基本的には「送金決済」か「荷為替決済（D/P決済、D/A決済、L/C決済）」のどちらかになります
送金決済ときには「指名式B/L」が使われます
一方、荷為替手形決済のときには「記名式B/L」が使われます
B/Lの種類
| 決済方法 | B/Lの種類 |
|---|---|
| 送金決済 | 記名式B/L (Straight B/L) |
| 荷為替手形決済 (D/P, D/A, L/C決済） | 指図式B/L (Order B/L) |
決済方法について詳しくはこちらの記事もご参照ください
記名式B/L ― 送金決済の場合
送金決済でお金をやりとりする場合には「記名式B/L（Straight B/L）」が使われます
記名式B/LのConsignee欄には輸入者の名前と住所が記載されます
Consigneeである輸入者はB/Lと引き換えに貨物を引き取ることができます
XXX corp.
1234 XXX Rd. NY 10001
→輸入者の名前と住所
指図式B/L ― 荷為替手形決済の場合
D/P決済、D/A決済、L/C決済といった荷為替手形決済でお金をやりとりする場合には「指名式B/L（Order B/L）」が使われます
指名式B/Lには「記名指図人式」と「単純指図人式」の2種類があります
記名指図人式
記名指図人式B/LのConsignee欄には通常 “To order of XXX bank”「XXX銀行（輸入地銀行）が指図した者」と記載されます
To Order of XXX bank
→XXX銀行（輸入地銀行）の指図した者
Consigneeである輸入地銀行が荷受人を指定し、指定された者がB/Lと引き換えに貨物を受け取ることができます
単純指図人式
単純指図人式B/LのConsignee欄には通常”To Order of Shipper”「荷送人が指図した者」と記載されます
To Order of Shipper
→荷送人（輸出者）が指図したもの
輸入者が荷受人を指定し、指定された者がB/Lと引き換えに貨物を受け取ることができます
B/Lが発行された時点では、具体的な受取人の名前は明記されません
そのため、もし輸入者が代金を払わなかった場合でも輸出者が指名さえしなければ貨物が渡ることはありません
指図式B/Lではどうやって貨物の受取人を指定するの？
荷為替手形決済で使われる指図人式B/Lでは、貨物の受取人を指図する必要があります
Consignee欄に記載されている者が、B/Lの裏面に裏書（Endorsement）することで貨物の受取人を指定することができます
「裏書（Endorsement）」とは「書類の裏側にサインすること」です
指名指図人式B/Lでは「記名式裏書」という方法で裏書がされます
一方、単純指図人式B/Lでは「白地裏書」という方法で裏書がされます
| 指図式B/Lの種類 | 裏書の種類 |
|---|---|
| 指名指図人式B/L | 記名式裏書 |
| 単純指図人式B/L | 白地裏書 |
記名式裏書 ― 記名指図人式B/L
記名指図人式B/Lでは「記名式裏書」という方法で裏書がされます
Consignee欄に記載された荷受人（通常は輸入地銀行）が裏書（B/Lの裏面にサイン）をし、貨物の受取人を記入します
B/Lの裏面に記載されること
- 貨物の受取人（”Deliver to the order of”の後に受取人を記載）
- 輸入地銀行の署名
裏書する人
- 輸入地銀行
白地裏書（Blank Endorsement） ― 単純指図人式B/L
単純指図人式B/Lでは「白地裏書」という方法で裏書がされます
白地裏書では貨物の受取人の名前は裏面に記載されません（空白にします）
B/Lを持っている人が貨物を受け取ることができます
B/Lの裏面に記載されること
- 輸出者の署名
裏書する人
- 輸出者
送金決済時には裏書は不要
送金決済の場合には指名式B/Lが使われます
指名式B/Lの場合は、B/Lが発行された時点で貨物の受取人がconsignee欄に明記されているため、裏書は不要です
（裏書しなくても輸入者は貨物が引き取れるため）
まとめ
貿易初心者にとってはB/Lの種類や流れを理解するのは難しいです
書類の流れ・モノの流れ・お金の流れの3つの流れを意識しながら、担当業務の商流を理解していくと良いと思います
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