貿易ビジネスで利益を生み出すためにまず「販売価格」を決めなくてはいけません
基本的な決め方は国内取引と同じですが、貿易取引では国内取引では発生しない費用がかかることがあります
それら全ての費用を考慮に入れて価格を試算する必要があります
販売価格の決め方の基本
販売価格は基本的に「原価」をベースに計算されます
販売価格を決めるステップ
- 「原価」を計算する
- 必要な「利益」を上乗せして「販売価格」を決める
「販売価格」とは「その商品をいくらで販売するか」という「売値」のことです
おにぎり1個100円です(販売価格=100円)
「原価」とは「その商品にかかった全ての費用」のことです
おにぎり1個を作るのに、食材が50円とラッピング代20円の合計70円がかかりました(原価=70円)
「販売価格」から「原価」を除いた金額が「利益」になります
70円で作ったおにぎりが100円で売れたら、差額の30円が利益になります
販売価格 ― 原価 = 利益
貿易の場合は「原価」としていろいろな費用がかかります
原価をすべて洗い出したらそれに利益を上乗せして販売価格を決定します
貿易にかかる費用
原価を洗い出すために貿易にかかる全費用をチェックします
基本的に、貿易取引には次のような費用がかかります
商品原価
輸入者から輸出者に支払う商品の代金です
外貨で取引する場合には為替レートも考慮する必要があります
貨物保険料
貿易取引では国内取引より運送リスクが高いため貨物保険をかけるのが一般的です
保険料は商品代金や輸出入実績によって変わってきます
輸出梱包費
船や飛行機での運送にも耐えられるように箱に入れたり、パレットやスキッドに固定する必要がありますが、その梱包費です
輸出検査費用
輸出地で検査を受けるときの費用です
必ず受けるわけではなく、輸入者が希望したときや輸出地のルールで決められているときなどに検査を受けます
国内運送費(生産場所から輸出地の港・空港までの交通費)
生産場所(輸出者の工場など)から港・空港までトラックなどを使って運ぶ際にかかる費用です
国内保管料(輸出地での保管料)
生産後すぐに出荷できないときや港・空港で一時保管が必要になったときの倉庫料などの費用です
輸出通関費用
日本の法律で定められている許認可を取得したり、税関への申告をしたり、輸出通関にかかる全ての費用です
輸出通関は輸出者自ら行っても良いですが、手続きが煩雑で手間とコストがかかるので専門の通関業者に依頼することが多いです
通関業者に依頼した場合は通関業者へ支払う費用が輸出通関費用に当たります
船積費用
荷物を船や飛行機に積み込むための費用です
輸送会社が荷物を積み込むところからしてくれることもありますが、輸出者・輸入者が手配をすることもあります
国際運賃
輸出地の港・空港から輸入地の港・空港までの海上運賃や航空運賃のことです
荷降し・陸揚げ費用
荷物を船や飛行機から降ろすための費用です
船積費用と同様に、輸送会社が荷物を降ろしてくれることもありますが、輸出者・輸入者が手配をすることもあります
輸入通関費用
日本の法律で求められている許認可を取得したり、税関への申告をしたり、輸入通関にかかる全ての費用です
輸出通関と同様に、輸入通関も輸入者自ら行っても良いですが、手続きが煩雑で手間とコストがかかるので専門の通関業者に依頼することが多いです
通関業者に依頼した場合は通関業者へ支払う費用が輸入通関費用に当たります
関税・消費税
輸入地で発生する関税や消費税です
貨物の種類によって税率が変わってきます
輸入通関業者に輸入通関の代行を依頼する場合は輸入通関業者が一時的に立て替え払いをすることもあります
国内保管料(輸入地での保管料)
輸入地の港・空港での一時保管料や輸入後販売するまでの間に保管する際の倉庫料などです
国内運送費(輸入地の港・空港から輸入者までの交通費)
港・空港から輸入者の指定場所までトラックなどを使って運ぶ際にかかる費用です
銀行手数料
商品代金を支払う際の銀行手数料です
貿易採算表の作り方
貿易にかかる費用を洗い出したら原価が分かります
それに利益を乗せて販売価格を決めます
原価を計算するときには計算漏れが無いよう「貿易採算表」を作って販売価格を検討すると良いでしょう
貿易取引は国内取引以上に多くのステップがあり、ひとつひとつにコストがかかります
コストの取りこぼしが無いよう、採算表を作って原価を積み上げていきます
貿易採算表の例(輸入者の場合)
項目 | 金額 (USD) | レート | 金額 (JPY) | 備考 |
---|---|---|---|---|
商品代 | 100.00 | 100 | 10,000 | |
貨物保険料 | 0 | |||
輸出梱包費 | 0 | |||
輸出検査費用 | 0 | |||
国内輸送費(輸出地) | 0 | |||
国内保管料(輸出地) | 0 | |||
輸出通関費用 | 0 | |||
船積費用 | 0 | |||
国際運賃 | 0 | |||
荷卸し費用 | 0 | |||
輸入通関費用 | 0 | |||
関税・消費税 | 1,000 | |||
国内保管料 | 500 | |||
国内運送費 | 500 | |||
銀行手数料 | 500 | |||
①原価合計 | 12,500 | |||
②販売価格(案) | 17,000 | |||
③利益(②-①) | 4,500 |
貿易採算表は取引を開始する前だけでなく、1か月ごと、1年ごとなど定期的に見直すと良いです
またコスト削減できたとき/為替レートが円安もしくは円高に振れたとき/輸送方法を変更したとき、などとりまく状況が変わったときにも見直しが必要です
必要に応じて他の業者からも見積もり(相見積もり)を取ってみると良いかもしれません
いつも業者Aを使っているけど、業者Bからも見積もりを貰ってみようかな
まとめ
ビジネスである以上、利益を出さなくてはいけません
一方で販売価格は需要や競合他社の動きも見ながら検討することが求められます
現在はどの業界でも価格競争が激しくなっており、販売価格もよりシビアに設定することが求められます
また原価もなるべく削減するように求められます
貿易でかかる費用を削減し、より競争力のある価格設定をするためにも貿易取引でどのような費用がかかっているか理解しておくことが必要になります
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