コンテナ船で輸送する場合、「ディテンション」や「デマレージ」といった費用がかかることがあります
- コンテナ船で貨物を輸出入する人
- フリータイム、ディテンション、デマレージについて知りたい人
- コンテナ船が到着してからの流れや費用について知りたい人
コンテナ船が輸入港に到着してからの流れ
コンテナ船が輸入港に到着すると、貨物はまずコンテナヤード(CY)に搬入されます
その後輸入通関が許可されれば、輸入者の拠点等の配送先に向けてコンテナヤードから搬出されます
配送先に到着すると、コンテナを開けて荷物を降ろします
空になったコンテナはコンテナ保管場(Van Pool)に返却します
コンテナ船が輸入港に到着してからの流れ
- コンテナ船が輸入港に到着
- コンテナヤード(CY)に搬入
- 輸入通関・搬出準備など
- コンテナヤード(CY)から搬出
- 配送先で荷降ろし
- 空コンテナをコンテナ保管所(Van Pool)へ返却
フリータイム(Free Time)
コンテナ輸送の場合、即日貨物を引き取れる訳ではありません
輸入通関の手続きをする間はコンテナヤードでの貨物を保管しなくてはいけないし、コンテナから貨物を降ろした後は空コンテナを返却しなくてはいけません
そのため「コンテナヤードでの貨物の保管期間」と「空コンテナを返却するまでの期間」を設定し、期間内であれば費用が発生しないような仕組みになっています
この期間のことをフリータイム(Free Time)といいます
フリータイムは、「無料保管期間(貨物を無料でコンテナヤードに保管できる期間)」と「無料貸出期間(コンテナを無料で貸し出ししてくれる期間)」の合計です
「無料保管期間」のことを「フリーデマレージ(Free Demurrage)」、「無料貸出期間」のことを「フリーディテンション(Free Detention)」と呼ぶこともあります
フリータイム = フリーデマレージ + フリーディテンション
通常、フリーデマレージには土日祝日を含まず、フリーディテンションには日祝日を含まない(土曜日は含む)ことが多いです
フリータイム(Free Time)の表記例
“Free Time = DEM 10 days + DET 10 days“であれば「フリーデマレージが10日間、フリーディテンションが10日間」ということになります
細かい表記方法は船会社によって異なります
特殊コンテナ(リーファーコンテナやオープントップコンテナなど)の場合、通常のドライコンテナに比べて短めにフリータイムが設定されていることが多いです
フリータイムを超過すると「デマレージ(Demurrage)」と「ディテンション(Detention)」という2種類の費用が発生します
デマレージ(Demurrage)
「デマレージ(Demurrage)」とは「超過保管料」のことです
コンテナヤード(CY)に到着後、一定期間(フリーデマレージ期間)を過ぎると発生する費用です
デマレージは、コンテナヤードから貨物を早く引き上げてもらうことが目的です
船会社にとってはコンテナヤードはあくまでも一時保管場所であり、倉庫代わりに長期保管されると困るため、早期引取りを進めます
コンテナヤードを倉庫代わりにして貨物を置きっぱなしにされるのは困る…
早く引き取ってもらわなくっちゃ
通常、デマレージの計算には土日祝日も含まれます
フリーデマレージを超過するとどんどん費用が膨れ上がっていくので要注意です
デマレージは非課税になります
ディテンション(Detention)
「ディテンション(Detention)」とは「コンテナの返却延滞料」のことです
貨物を引き取り後、期間内に空コンテナを返却できなければ発生する延滞料です
ディテンションは、コンテナを早く返してもらうことが目的です
船会社にとってはなるべくコンテナの回転率を高めて効率良く貨物を運びたいので、コンテナの早期回収を進めます
コンテナがいつまでも返却されないと困る…
早く返してもらわなくっちゃ
通常、ディテンションの計算には土日祝日も含まれます
フリーディテンションを超過するとどんどん費用が膨れ上がっていくので要注意です
ディテンションは課税になります
デマレージとディテンションは誰が払うの?
輸入者の貨物引取りや返却が遅れたことが原因として輸入者負担になるケースが多いです
契約時にデマレージとディテンションについても定めておくと良いですが、売主である輸出者がデマレージやディテンションを負担するという内容の契約書にサインすることは考えにくいです
フリータイムの細かい計算方法は船会社によって異なるので、輸入者は出荷時にフリータイムの期間を確認し、スムーズな引取りができるよう調整する必要があります
一概に輸入者だけの責任とは言えないようなデマレージやディテンションが発生したときには輸出者と費用負担について交渉することもあります
船会社はコンテナの回転率を高めたい
船会社はコンテナの回転率を高めて効率良く無駄なく輸送したいので、デマレージやディテンションといった仕組みを設けています
コンテナは世界中の港で使い回す仕組みになっています
そのため、一部の港でコンテナが滞留すると、他の港でコンテナが足りなくなります
コンテナが不足すると効率よく輸送ができず、輸送に時間がかかったり、コストが高くなったりします
またコンテナの需給ギャップを解消するために空のコンテナを運ぶ羽目になったりします
まとめ
輸入者はフリータイムの期間を確認することがとても重要です
デマレージやディテンションは時間の経過とともにどんどん費用が膨れ上がっていくので要注意です
余計な費用が発生しないように貿易担当者として調整することが不可欠です
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